拾い恋(もの)は、偶然か?
自分をあまり卑下しなくなったけど、こうして“悪化”し続けているんだけど。
不意に、翔吾さんが手に持っているマグが目に入った。どうやら今回はたまたま、私を見つけたらしい。
「部長、コーヒーですか?」
「ん?ああ。自分で入れるよ。」
そう言ってくれる翔吾さんに笑顔を返して、強引にマグを奪い取る。
「……音って無言で恐いときあるよね。」
「え?松崎さん、なんて?」
とぼけながらもマグにコーヒーを注いで翔吾さんに渡せば、すぐさま一口飲んだ翔吾さんは私の頭をポン、と撫でた。
「おしゃべりもほどほどにね。」
「すぐに仕事に戻ります。」
松崎さんが邪魔しなきゃもっと早かったんですけどね!
「私も、暇じゃないので失礼しまーす。」
松崎さんの言葉に、しらっと見ているしかできなかった。勝手に来といてどの口が言うのか。
「ああ、そうそう。」
「びっくりした。」
部屋を出ていったと思っていた松崎さんは、廊下から顔だけを出してニヤリと笑う。
「社長が、社長室に来いって。」
「また、呼び出しですか。」
「じゃ、しっかり伝えたからー。」
松崎さんに手を降り返すと、どっと疲れが襲ってきた。