拾い恋(もの)は、偶然か?
それにしても困ったことに、私はこの人を前に睨みつける勇気も笑う余裕もないほどちっちゃな奴で。
結局無視して通り過ぎることしかできなかった。
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「はぁ。」
席について、一日中出るのは溜息だけ。初日の朝であれだよ?そりゃ落ち込むって。大体さ、昨日誰もいない公園でOKしたのに、なんでもう私と部長のことがバレてるわけ?
部署内を見渡してみても、目が合う人なんていない。みんないつも通りに仕事をしている。
「古蝶、ここなんだけどさー。」
「はい?」
鳴海先輩もいつも通り。不自然にそわそわしている人なんて皆無だ。いやいた。私だ。
「どうしたの。顔が怖いけど。」
「分かります?ちょっとムカついてて。」
「あー、昨日深酒したでしょ。だめだよー。若いからってイキっちゃ!」
「先輩、全然違いますから。」
だからこそ、ものすごく気持ち悪くて、気分が悪い。
私と部長が昨日付き合うことになっているのを知っているのは、たった2人。
私と、司馬部長だ。
勿論私が漏らしていないのだから、彼女に教えたのは彼、ということになるけど、元カノにそう気軽に報告するとも思えない。
どちらにせよ、あまり気持ちの良いものじゃないのは確か。
だって現に彼女はすぐ行動している。