拾い恋(もの)は、偶然か?
「はぁ。」
「分かる。ああいうのって相手にされるわけないのにさ、なぜか鋼鉄の心臓で押し進めるのよね。男によっては押し切られちゃうから怖いよね。」
「……鳴海先輩、本当に私のこと心配してくれてます?」
ごめんごめん、と笑ってみせる鳴海先輩。どう考えても悪いと思ってないよね。
「……。」
改めて2人を見てみると、感じるのは胸の痛み。だけどそれ以上に、とても大きな寂しさが、私の中で渦巻いた。
足りない。
甘いキスも、素敵な笑顔も、ドキドキする胸の鼓動も、全ては部長が、いや、翔吾さんがいなくちゃ経験できないこと。
もっと求めて欲しい、私を。
付き合うまではそんなこと思いもしなかったのに、傍に彼の存在を、匂いを感じた瞬間、自分を抑えていた何かが決壊して、溢れ出た。
視線を外して椅子に座る。このもてあました感情たちを処理する術もなく、今日も私は仕事をするのだ。
翔吾さん、あなたもそう思ってくれていたら、嬉しいのに。
チラリと見た彼が、七瀬さんに優しく笑いかけている。それは"営業用"のはずなのに、こんなにも不安になる自分が、もはや分からなくなっていた。