明易のマンション
テレビがつまらないと分かると茉莉子はスマホに手を伸ばして弄りだした。SNSで同僚や友達のつぶやきを見ながらテレビをラジオ代わりに過ごす。
「またこんな高級そうな夕飯食べたり合コンしたり皆忙しいね。夕飯なんてツナ缶と酒があれば良いでしょ。」
とつぶやきに親父臭い感想を言うと茉莉子は自分が夕飯を食べてないことに気付いた。
「冷蔵庫に何かあったかな?」
と台所に向かう。
「えっと…。ビールとツナ缶があるね。あっ!キムチもあったんだ!」
本当に若い女性?と言いたくなるような食事をお盆に乗せてリビングに戻る。再び、スマホを見るとメールが届いてる事に気付いた。メールを開くと「緊急」とタイトルに書いてあった。怪訝な表情で本文を読むと茉莉子は「はぁ」と盛大なため息を吐いた。
「明日っていうか今日の朝一から会議?あり得ない。めっちゃ早起きしないとダメじゃん。朝起きれるかなぁ?全く、こっちの都合も考えてよ!」
会社が茉莉子の休日のうたた寝まで知らないであろうが…。
「はぁ。会議って嫌い…。」
と言いながら“了解”とメールを打ちながらビールを煽る。
ビールやツナ缶があらかた空になる頃、“ピンポンパンお風呂が沸きました”とアナウンスが部屋に響いた。よいしょと立ち上がりさっき行った浴室に再び向かう。なるべく鏡を見ないように服を脱ぐと洗濯機に放り込み湯船に浸かる。
「あぁ~。気持ちいい~!」
とう~んと伸びる。少し浸かってから手入れが行き届いたセミロングの髪を洗い、体を洗う。
「ゆっくり入りたかったけど、早く寝ないと仕事が…。でも寝れるかな?」
と呟きながら風呂から上がる。下着を着て再び鏡の前に立つ。
「うん!スッピンでも可愛いなぁ!」
と相当自分に自信がある発言をし、化粧水を顔につける。そして“大阪めっちゃ好きやねん”とプリントしてあるTシャツを着てリビングに戻り、冷蔵庫からビールを出して一気に煽る。
「あぁー!最っ高!君は最高の一品だよ!」
とビールをべた褒めし、寝室に向かう。すると
「ピンポーン」
と時間に不釣り合いなインターフォンが鳴った。
「こんな時間に誰?怪しくない?でも、リビングに戻ってモニター確認するのも面倒くさいし…。まっ、オートロックのマンションだから大丈夫だよね?」
と言いながら玄関に向かう。一応、ドアにチェーンをかけてからドアは開けないで
「どちら様ですか?」
と声をかける。

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