遅すぎた初恋
発覚
書斎で話した日から、一週間後に星羅は出て行った。一週間かけて自分の周りの物は全て処分して行った。まるで自分は居なかったように、本当に綺麗に痕跡を消し去って行こうとするのだから、残される方はたまったもんじゃない。

「お義母様、私は隆次さんやお義母様から沢山の愛情を頂いただけで充分なんです。それだけで充分です。だからそれを頂いて行きます。」と言って。母達の悲しみは深い。

「なんであの娘が出て行かないといけないのよぉ。貴方が止めないからぁ。広高の馬鹿息子〜〜。」
と、ヒステリックに私に詰めよるから堪らない。
「はいはい。俺を責めてくれ。」だが、 私は悪くない!皆の総意だ!
星羅だって私が話す前からそのつもりで動いてたじゃないか!私だって…。と心で叫ぶ。

だが、母さん。多分近いうちに星羅は家に連れ戻す事になるだろう。
もうすぐ、はっきりとした答えが出る。

榊に相談して、概ね私の見解であっていると言って動いてくれているし。

捕らえるチャンスがあるなら、みすみす逃がしはしないさ。
たとえ嫌われても、我々の元に戻ってもらう。
隆次を永遠に愛していても、私の見える所には居てもらう。
どんな形でもいい、君を離したくない。
諦めることに慣れている私が、唯一望むのは君だから。
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