遅すぎた初恋
愛しい人
マンションに戻り、星羅に、「明日から海堂さんの所には行かなくていい事になった。事情を説明して了承してもらったから。」と話しを伝えると、案の定。
勝手だ!横暴だ!帰らせて!と本当に大嫌い!を泣きながら連発されて、私は聞く耳を持たない態で、夜通しひたすら睨み合いを続けた。

「どうしてお義兄さんは、そんな勝手な事ができるんですか?この子は私の子です。どう育てるかは、私が決めるって、言ってるじゃないですか?どうして分かってくれないんですか?」

「 だから、それは言ってるだろう!高柳の血が流れているんだ、君一人の子じゃない。仮に私が結婚しなければ、その子に継がせようと考えてるくらいだ!」

「そんな事…それこそ横暴ですよね?お義兄さんが早く、誰かと結婚して子供を作ったらいい話ですよね?どうして、宿ったばかりのこの子にそんな事まで押し付けられなきゃいけないんですか?」

「私が結婚する気がないからだ。」

「そんなの…身勝手だわ。」

「なんとでも言え!」
夜通し攻防を続けてはいたが、明け方になると泣き疲れたのか彼女は眠りに落ちた。
トキさんも私達のやり取りをオロオロしながらもずっと見ていたので、朝食の時に「坊ちゃんは酷すぎますよ。星羅様が怒るのも無理はないです。可哀想すぎます。」と散々小言を言ってきた。
悪いとは思ったが、それもほぼほぼ無視して、トキさんに「星羅もしばらくは起きないだろうから体を休めてくれ」と伝え、榊が来たので、見張っておくように指示して、出社した。
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