副社長は今日も庇護欲全開です
大きい窓がある副社長室は、適度に陽の光が差し込んで明るい。

白が基調の家具で揃えられているからか、開放的な雰囲気だった。

ベージュのソファセットが置かれていて、住川さんは私にそこへ座るよう促す。

「ああ、もうそんな時間か。すまない、仕事が立て込んでいるんだ。二、三分待ってもらえるか?」

正面のデスクへ座っている副社長は、パソコンに向かったままそう言った。

「はい、分かりました」

副社長のパソコンを打つスピードは速く、真剣な眼差しで画面を見ている。

かなり忙しいみたいだけれど、急な仕事でも入ったのかな?

時間指定をしてきたのは、副社長側だったから……。待っている間、落ち着かない気持ちで、さりげなく部屋を見回してみる。

経営学的な本が並んだ本棚や、大きなテレビがあり、会議で使うようなロの字型のテーブルもあった。

仕事はまだ終わりそうになく、出直したほうがいいんじゃないかと思ったとき、不意に電話が鳴り、副社長がそれを取った。
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