副社長は今日も庇護欲全開です
フッと笑う副社長に、私はドキッとしてしまう。ふと見せる副社長の笑みは、私の心の緊張を解かしていった。

「本当に、お礼が言いたいからです。貴重なお時間をいただけたことも、素敵なお店に連れてきてくださったことも全て……」

そう言うと、副社長はダイニングテーブルに歩みを進めて、椅子を引く。

「どうぞ。食事にしよう」

「はい……。ありがとうございます」

紳士的な副社長の振る舞いに、私は再びお礼を言った──。


「下村さんは、この先も広報部を希望するのか?」

副社長お勧めのコースをご馳走になりながら、彼からの問いかけに小さく頷いた。

「はい。もちろん、組織ですから、自分の希望ばかりを言っていられませんが。できれば……」

魚介のカルパッチョや、野菜の冷製スープなど、口当たりがよく上品な味付けのものばかり。

楽しく食事をさせてもらいながら、副社長との時間を堪能させてもらっていた。

「そうか。だから、あの改善案は、とても説得力があったんだな。目を通したとき、俺も感心したよ」

「本当ですか?」

副社長にそう言われて、素直に嬉しい。一社員の意見でも、真剣に見てもらえることが分かって、これからのモチベーションになりそう。
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