副社長は今日も庇護欲全開です
胸と胸が触れ合って、ときめきが加速する……。

「きみを、離したくないな……。だけど、今日はこれでまた……」

「はい……。帰ったら、連絡します」

そう応えると、直哉さんは優しいキスをしてくれた。包み込まれるような温かなキスは、夜にしてくれるものとは違う。

今度はいつ、ゆっくり会えるんだろう……。そんなことを考えている自分に、切なさより幸せを感じた。

彼と付き合えていなければ、それを考える余地さえなかったのだから。

「俺からも、連絡するよ」

直哉さんの言葉に微笑みで返すと、ゆっくり玄関のドアを閉めた──。

◇ ◇ ◇

「あれ? 陽菜ってば、口紅変えた?」

月曜日に出勤をすると、真美香が声をかけてきてドキッとする。

色を少し柔らかめにしただけなのに、鋭いな……。動揺しながらも、冷静を装い笑みを浮かべた。

「前のがなくなったから。よく気がついたね」

なんて、本当は心境の変化。昨日、家へ帰って直哉さんと電話で話しをしていると、本当に恋人同士になったんだと実感できたから。

なんだか、とても心が満たされる思いがして、口紅を変えてみようと思った。

「ふぅん。どことなく、陽菜が綺麗になってる気がする。もしかして、彼氏ができた?」

「えっ⁉︎ そんなことないよ。気のせいだって」

「そうかぁ?」

疑わしそうな目で見る彼女に、私は動揺を隠しながら微笑む。さすが真美香は、勘が鋭くて驚くばかり。
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