くまさんとうさぎさんの秘密
熊屋敷
実家に顔を出すことをあきらめた私は、くまさんの家に向かった。
くまさんの家でも、玄関の呼び鈴を鳴らすのはためらわれたので、くまさんの携帯に電話を入れた。
「家の前まで来たよ。ひとみさんと話せる?」
「ひとみは、帰るの遅いから、後でいいよ。俺の友達も来てるから、とりあえず上がってこいよ。親父の部屋にこい。テスト勉強しないとな。ひとみが帰ってから、話長くなるかもしれないだろ」と
くまさんが言った。

くまさんの家の玄関のオートロックが開いた。
「早く入れよ」と、くまさんが言った。
私は、扉を開けて、勝手に上がらせてもらった。

リビングを通り抜けて、それから、私は、くまさんの部屋の扉を開けた。誰もいない。
「親父の部屋って言ってたっけ。。」
すぐに扉を閉めようと思ったけれど、気になるものを見つけて、思わず中に入ってしまった。
ちょっと変わった部屋だった。寝室かと思ってたら、そうではなかった。機械だらけだった。
でも、女子が気になるのは、そこではない。
機械だらけの中に、1枚だけ、ものすごく綺麗な女の子のポスターがあった。
(こういうの、気になっちゃうよね。)私は、何か書き込みなどないか見たけど、ただワンピースを着た小さな女の子の写真だ。
(ひとみさんの小さい頃かな??)ひとみさんにどこか似ていた。
そして、、突然、後ろの機械から何か光が出た。
びっくりして振り替えると、そこには、ひとみさんの姿が幽霊のように浮かび上がっていた。
私は、「キャッ」と、悲鳴をあげ、それから絶句した。ひとみさんは、何か口をぱくぱくとさせていたが、音はなかった。そして、しばらくして消えた。
その後、5秒ほど間を開けて、次に、なんと、私が現れたのだ。
私は、びっくりして立ちすくんだ。
機械には、一メートル四方の透明のドームがついていて、私は、ドームの中で床に座り込んでこちらを見上げている。くつが壊れて、ピンクのワンピースの裾がはだけて、びっくりしたようにこちらを見上げている。
この場面を、私は実際には見ていないけど、大いに心覚えはあった。
「アンタコソナニヤッテンノヨ」と、私の口が動いた。
めまいがしたので、その場に倒れ込んだ。
何これ?どういう仕組み?
後ろで扉が開いた。
(私、勝手にくまさんの部屋に入っちゃった。。)
私は、意識を手放した。

< 10 / 138 >

この作品をシェア

pagetop