くまさんとうさぎさんの秘密

兄貴2

by 熊谷義明
八代さんは、やっぱりドラッグのことを知っていた。実は、予備校だけでなく、大学でも出回っているらしい。

「防犯って、軽く考えられがちなんだよ。そういうとこ合わなくて、仕事変わった。やっぱり、未然に防ぎたい思いが強いからなあ。」と、八代さんは、話していた。俺も、ちょっと分かる気がする。

「洋治、これやっちまってんのか。。」と、八代さんは、絶句した。。
「洋治に、これが何か説明する前に、誰から手に入れたか聞き出せるか??」
「分からないです。」
「一回、軽く聞いてみてくれ。義明が口つけてなくて良かった。。」
「俺は、ひとみにいつも言われてるんで。」
今回のことの次第は、八代さんには全部話した。
「それにしても、何でアレルギーのことも言わなかったんだ?」
「説明もややこしいし、ある意味、俺もひとみも、最後は自分の責任だと思ってるんです。今回みたいに、友達に悪気がなくても、そもそも友達がはめられてることだってある。最後に口に入れるかどうかは、自分が決めることだって。それに、話して断っても、俺の体質の問題より、人格の問題にされちゃうことも多くて。「俺の酒が飲めないのか」じゃないですけど、「食べてくれないの?」みたいな。バレンタインのチョコも、市販品で確認とれたやつしか食べたこと無いんです。ゴソッと捨てることになる。でも、誰か一人に本当のこと話すと、他人の口に戸はたてられなくて、巡りめぐってみんなに失礼なことになるじゃないですか。」

「まあ、慣れさせればアレルギー治ると本気で思ってる人間も多いからなあ。。好き嫌いくらいに思われることも多いかもなあ。」

「それに、俺の親父、若くで亡くなったから、ひとみも神経質になってんですよ。食べ物やら防犯やら、うるさいんです。」
「まあ、今回は、その忠告が役に立ったわけだから、間違ってなかったわけじゃん。」
「アレルギーのことは、誰にも言わないで下さい。」
「分かったよ。」

「洋治の事なんだけど、本人に話す前に、洋治の親父さんに相談した方が良くないですか?。」と、俺は言った。
「俺も、その方が良いと思う。肥後橋さんには俺から話すよ。お前、早いうちに、誰からもらったのかうまく聞き出してくれ。あと、どれくらいやったかも。何かついでの用事無いか?」
「宇佐美のとこの学祭に誘われたんです。洋治の彼女の大学だし、どうするのか確認するついでに尋ねます。」
「了解。うまくやってくれ。こんなもの洋治につかませた奴許すわけには行かない。」



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