転生令嬢の異世界ほっこり温泉物語
ラナに呼ばれたコンラードは直ぐにやって来てくれた。

レナードとのやり取りを説明した。

コンラードもライも、レナードがミント村の支配権を得ようとしている事は気付いていたけれど、さすがにエミリーの件は想定外だったようで、とても驚いていた。



「トレヴィアの第三王子の婚約者はパストーレ公爵家の令嬢だろう? 本当だったとしたら結構まずいな」

ライが呟くとコンラードも同意する。

「慎重な根回しが必要になります。モリスに連絡を取りましょう」

私は少し驚いてライを見た。

第三王子の婚約者のことを、どうしてそこまで知っているのだろう。

第三王子は次期国王と言う訳でもない。

他国の一般人が、そんな王子の婚約者の事まで知っているものなのだろうか。

時々感じるライへの違和感がまた膨らんでいくのを感じた。



レナードへの対策については、話し合い方針を決めた。

彼が私を襲った事を逆手にとり、こちらが被害者だと訴える。

エミリーが本当に不貞をしていたとしても、これでレナードも同じ立場。
しかも無理やり襲った訳だから、更に部が悪い。

その辺りをつついて、まずはミント村から出て行って貰う。

レナードもしばらくは大人しくしているだろうから、その間に王都の屋敷と連絡を取りあい、そもそもエミリーの件が本当なのか事実確認をする、

そして、可能であればこのミント村の権利を私に移す手続きをする。

トレヴィア王国の法律で、財産の移譲はニ十歳以上と決まっている。私は来月ニ十歳になるので、相続が可能になるのだ。


もし、権利をもらう事が不可能でも、私の名義で商会を立ち上げる事にした。

ミント村リゾートは、商会の財産とする。

そうしておけばレナードが当主になっても、温泉施設の権利を主張は出来なくなるから。

せいぜい土地を使用している賃料を要求して来るくらいだ。

その気になれば追い出す事は可能だろうけれど、そうなるとミント村の収益が激減するので、その手は使ってこないだろうという見込みだ。


皆で相談して希望が見えて来てほっとした。

私ひとりでは商会の事を考え付くまで時間がかかっただろうし、エミリーの事も真に受けてしまった。

私の妹に対する認識が、真実を確認すると言う当たり前の事を忘れさせたのだ。

< 110 / 144 >

この作品をシェア

pagetop