君がいて、僕がいる。



「真希ちゃん、足大丈夫?」


そう言って、私に絆創膏を差し出した。


「……え?」

「足、痛いんでしょ?赤くなってる。靴擦れ?
下駄は慣れないから痛くなるよね」

「あ…ありがとう」

「せっかくの浴衣だから祭り、楽しんでってほしいけど、無理もよくないから俺バイクだし送っていこうか?」

「えっ…」


え、っと…これは、本気で心配してくれているのか…?それとも誘われてる…?


「真希は俺が連れて帰る。
拓弥の出る幕じゃねぇよ」

「あ、そ。ならいいけど。
じゃあ俺いくわ。真希ちゃん、お財布ありがとね」

「あ、はい」


行く、というのに北山さんはなぜかこちらに近づいてきた。
そして私のところまできて、私の耳元まで顔を近づけた。

「俺たち、このくらいで仲悪くなったりしないから変な心配しないでね」

それだけ言って、優しく笑って頭にポンっと手を乗せて、神社から出ていった。


……っていうか、足痛いっていつ気づいたんだろ…
立ったりしてなかったのに…


北山さんの背中を目で追ったまま、ずっとそこを見ていたら

「…ひゃっ…!」

急に私の体が浮いて、圭介の腕の中にいた。
かと思えば、優しくベンチに座らされ、上から圭介が覆い被さってきた、かと思えば
荒く、私にキスをする。


「んっ…、ちょ……」


そのキスに、いつもの優しさはなくて、圭介の感情がぶつけられてる
そんなキスで、私は思わず拒否をした


「悪い」

「……圭介?」


私から離れた瞬間の圭介の顔が苦しくて
だけどその顔はすぐに後ろを向いてしまった。

どうしたのかわからなくて、圭介が今何を考えてるのかわからなくて
私も下を向くしかなかった。


「……勝手にいなくなって、ごめんなさい」


どうしたらいいのかわからなくて…私には、謝ることしかできない。
自分から離れたのは事実だから…

でも、その言葉に圭介が反応し、こちらに振り返ってくれた。


「どこ?痛いの。どっちの足?」

「え…あ、右の…」


私がそういうと、圭介は私の前に膝をついて私の右足を持ち上げ、下駄を脱がせた。


「ちょ、自分でできるからっ…」

「いいから」


私から絆創膏を奪い、鼻緒で擦れた親指に、絆創膏を貼ってくれた。


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