君がいて、僕がいる。
こういうとき、頼りになる弟で本当に助かる。
喧嘩も多くてどうしようもないヤンキーだけど、でも
優しいとこあるし、なんだかんだ姉ちゃん思いだし、度胸もあるし。
なんだかんだ圭介にも優斗くんにも好かれてるしね。
きっと先輩をたてることができるやつなんだな。
そんなことを考えていると
「たっ……」
いきなり路地に曲がってきた人とぶつかってしまった。
「いってぇな」
「す、みませ…」
顔をあげれば、すごく嫌な感じのヤンキーだった。
なんでこんなときに……
「邪魔だよ!!」
ヒィィィィィィ!!な、あんだよ!そっちからぶつかってきたくせに偉そうに!!
「あれ、この女…」
「え……?」
ぶつかってきた男の後ろから、顔を出す一人の男が私を見てそう呟いたあと、ケータイでなにかを見ていた。
「あ、やっぱそうだ!
神谷の女だよ、こいつ!!」
「神谷の?
……へー。じゃあ熊谷さんの時いたやつか」
くま、がや…?
え、待って……あいつの仲間なの……?
「どうする?こいつ。
こいつ使えば神谷出てくるんじゃね?あいつ、ずっと見ねぇし」
「あー、それ俺も思った。
こいつ使えるよなー」
ちょ、ちょっと待った……
なにを勝手に話をすすめてんの…
「じゃ、連行ってことで」
そういって、ぶつかってきたこいつが私の腕をがっつりと掴んだ。
「ちょ、ちょっと待って!
私圭介の彼女じゃないんだけど!
ただの後輩で……」
そう、強く言ったんだけど。
事実を言ったつもりだったんだけど
「でも下の名前で呼んでるじゃん。
学校の先輩を普通下の名前で呼ぶ?」
あのケータイでたぶん私の顔写真でも見た後ろにいた男がそんなことを言うから
私の言葉はあっさり沈んだ。撃沈。
「それはっ…前にそういう時期があっただけで、今は彼女でもなんでもない!
私の名前出したって、圭介が呼び出せるわけじゃなっ……、!」
そう言ったけど、私の腕をつかんでいたこいつが、私のお腹を思いっきり殴ってきて、
私はもうこれ以上話せなかった。
それどころか、どんどん意識が遠退いていく。
「うるせぇよ。
そんなんやってみりゃわかんだよ。
ま、違うなら違うで可愛がってやるし」
「はは、違わなくても可愛がるの決定だろ」
そんな声が遠くに聞こえるけど、拒否する力はもう残っていなかった。
「……真希!!」
そんな声が聞こえる
……でも、もう見えない。
薄れていく意識を、その声で私は手放した。