君がいて、僕がいる。



「でも、何年間も付き合ったのに別れちゃうなんて」

「…まぁ、それは俺には彼女がなに考えてたんだかわかんないけど
結局俺が頼りなかったんだろな」

「え、そういうもんなの?」

「そういうもんなの。俺らの場合」


その言い方が、いつもの圭介より雑で、乱暴で投げやりで、適当だった。


「…もしかしてまだ好き?」


そんな圭介もまた見たことがなくて、本当はまだ好きなのかな、って…


圭介は一瞬固まったけど、そのあと私の顔を見て目を細めた。


「ばーか。好きなら
真希を家に呼ぶような誤解されること、しねぇよ」


これまたずいぶんあきれた顔して。


「そ、そっか。誤解か…」

「そ、誤解。
…まぁ俺は誤解じゃなくて事実にしてもいいんだけど」

「…は?」


誤解じゃなくて、事実?

いやまぁ事実でしょうね。実際家来てるわけだし。


「…本当頭悪いなぁ」

「いや、うるさいよ。
なんなんだ、急に」

「だからこういうこと」


圭介はそういって、私の腕を掴んでグッと引き寄せた。
思わず顔がぶつかる、その距離まで


「俺と付き合ってみない?」


このぶつかりそうな距離感で、またそんなことを言ってくる。


「返事は3秒以内ね」


言葉の意味も理解できないまま、近づく圭介の顔。

ちょっと待って、返事ってなんなの
この人どういうつもりなの

そんなこと考えてるうちに


「━━━っ、」


私と圭介の唇はぶつかった。


「ん、じゃ今から俺の彼女ね。」


かの、じょ?


「……は!?」

「だって拒否もせず断りもせず俺を受け入れたってことはそういうことでしょ?」


な、に…それ……


「聞いてない!!」

「だから返事は3秒以内だって」

「み、短すぎだし!
ってかなんでいきなりキスなの!」

「嫌だった?」

「いや!…ではない、かもだけど…」

「ほら、いいんじゃん」

「い、いや…いいとか悪いとかじゃなくて」

「じゃあなんなの」


なんていうかさ、私初めてなわけよ…
本気の告白すらされたことない分類なわけよ

おモテになるあなたにはきっとわからないでしょうが


もっとドキドキしたかったよ…


「……なんでもないです」

「ん、じゃ彼女ね。」


…ま、いいや
圭介だし。


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