君のぬくもりを忘れたい

優しさと嘘

学校の横を通る。
あともう少しでつく時、グランドから部活をしている声が聞こえた。

私は部活に入っていない。

家のこともあるし
やりたいことがないから。

しかも、この少し遅い時間に登校できるメリットもある。

(そういえば–––––––––––––––)

前を歩く河野くんを見る。

これはあくまで推測だけど、スポーツができそう。いや、できるだろう。

この時間に登校っていうことは、部活してないのかな…?

聞いてみよう–––––––とした。

聞けなかった。

河野くんの
部活を見る目が
すごく悲しそうだったから。

口を閉ざしてしまった。

でも、私とは裏腹に河野くんは口を開いた。

「壷林さんは、部活入らないの⁇」

あ、部活のことにふれていいんだ?

じゃあどうしてあんなに–––––「壷林さん?」

「え?…あーやりたいことないから。」

「そうか〜〜」

聞いてもいいのかな?
「こ、河野くんは…?」




思わず下を向いてしまった。

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