君のぬくもりを忘れたい

卵焼き

(あ… 壷林さんどこいくんだろう?)


お弁当を持って出て行く壷林さんの背中を見つめた。

ていうか、入学式の日からお弁当がある、とか珍しい学校だな。

「?河野くんどうしたのー?」

「まだ見とれてんだよ、美女に。」

「!?」やっと、耳に声が入った。


「ちげーよ!!!!」

いや、そうだろ。俺。
なぜ反抗した…?普通はするか。

「あれ…?壷林さんお弁当食べに行ったのに、お箸忘れてない?w」

俺の周りにいた1人の女子が、壷林さんの机の上にあるお箸箱を指差す。

「ほんとだー!天然?w」

「俺届けようか『いや、俺が行って来るよ』

つい勢いあまり、かぶせてしまった。

慌てる事でも、かぶせないといけなかった訳でもないのに。




–––––––––––––––つい。焦ってしまった。





ガタッ!!!!

机から立ち上がる。


女子達の卵焼きでお腹いっぱいになった体を精一杯早く動かした。

「ちょっと行って来るな?」


そうみんなに言って、教室を後にした。



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