超レ欲ス


「アンタ、バカじゃん?」

と言ったのは浅瀬晴美《あさせはるみ》である。

すごく横柄なもの言い。

誰かを連想させる名前。

放課後。

人気のなくなった二年B組の教室内。

残っているのは俺を含め四人。

彼女と志田、そして俺。

それからどういったことか、志田の恋人である、近江しぶきの姿もあった。

「浅瀬ちゃん、落ち着いて」

アハハと朗らかに笑いながら、お怒りの浅瀬晴美をなだめる近江。

ちなみに、べつに俺が怒られているわけではない。

怒られているのは、俺の隣でボンヤリと突っ立っている、バカチンである。

「なぁテル。オレ、なんか悪いコトしたの?」

頭をポシポシかきながら、俺に救いを求める志田。

「したな。確かにバカだった。無神経だった。俺でさえ勘違いするほどに」

俺もまた、浅瀬晴美同様、憮然と答える。

「ごめんね、嶋村くんも。私がもうちょっと気を遣うべきだったんだよ」

すかさず彼氏のフォローをする近江。「嶋村くん」と呼ばれ、俺はたじろぎそうになる。

お、俺のこと、覚えててくれた……、感激だ!

……って、そうじゃねえだろ。

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