はねいし。
びっくりして、振り返る。

そしたら、すぐ近くに、ワタルの顔があった。


胸の奥が、押しつぶされたみたいに 痛い。


「……親に、言うなよ…」


すごく小さな声で、アタシの耳にささやく。

「……言わないよ、安心しな。」

アタシも小さな声で返す。少しからかうような笑みを浮かべながら。



そうだね。
万が一、アタシがおもしろがってアタシのお母さんとかにバラしたら
アンタのお母さんに筒抜けだもんね。

ずっと昔から、あの二人すごい仲良しだし。



…言わないよ。


だって、こんなこと、口にしたくない。


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