はねいし。
鏡をぱたんと閉じて、ポケットにしまう。


「…あれ?」


中に入ってるものが邪魔して、角がポケットから出てしまった。

「……。」


小さくためいきをついて、ポケットの中の、小さな巾着袋を取り出す。

黒のビロードの生地でできた、手のひら大の巾着。

ずしりと重い。




手のひらにのせて、ぽつりとつぶやく。


「なまえ…呼んでほしかったな」





あの頃みたいに 「未来(みく)」って…。

< 7 / 16 >

この作品をシェア

pagetop