溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「偶然に撮れたんだけど、可愛いよね! もうこの写真は絶対消せないよー」

環奈は写真を見て上機嫌に話しているけれど、俺は一緒になって笑えそうにない。

彼女は気づいていないんだろうな。なんでも話してくれるのを嬉しく思う反面、面白くないと思っていることに。

笠井君は環奈の後輩で、職場の同僚だということは重々承知している。けれどやっぱり面白くない。

俺はこうしてたまにしか会えないのに、笠井君は出勤すればいつでも環奈に会えるわけだろ? そんなの羨ましすぎる。

それに宮田、子供になにやらしているんだよ。赤ちゃんっていっても男だろ? 環奈もキスされて嬉しそうにして。

……なんて子供じみた独占欲を抱いているなんて、環奈には言えそうにない。そもそも想像もしていないんだろうな、俺がそんなことを思っているなんて。

その後も環奈は俺の気持ちを知る由もなく、楽しそうに宮田と会った日のことを話してくれた。


「今日のお店、初めて入ったけれど料理、全部おいしかったね」

「あぁ。今度また行こう」

「うん!」

居酒屋を後にし、夜風に吹かれながら最寄り駅へと向かっていく。時刻は二十二時になろうとしていた。
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