明日も、きみに逢いたい。

向こうの方から男の人が駆け寄ってくるのが見えた私は、その人を待った。

きっとあの人のボールなんだな。


「…ごめんね。」


私に近づいたその人は、ニコッと笑って…だけど少し悲しそうに私にそう言った。


その笑顔に吸い込まれそうになった私…

「あ、いえいえ。…どうぞ」


必死に平常心を保った。

私はその人にボールを渡す。

先生…なのかな。

「君、新入生?」


「あ、はい。」


「そか。名前は?」


「あ、えと、遠山花です。えっと…」

次々と質問してくるので少し困惑した私を察したその人は、


「あ、ごめん。」

とまた謝って、自分の名前を名乗った。


「俺は、夏目弘人です。ここの教師やってます。」

「あ、やっぱり…」

先生なんだ。そう言おうとした時、


「俺のこと知ってる!?」


急に目を見開いて私にそう言った。


< 5 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop