君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
地元にはこの7年間、1度も帰ってなかった。
浩ちゃんの夢を実現させるまでは、実家に帰らないという意思があったし、あたしもそれを尊重させたかったから。

だから、いつか浩ちゃんが、帰れるって思うまで。
あたしは待つと決めていた。



「でも、いいよね」



本当は一緒に帰りたかった。
でも、寂しさが限界だったあたしは、カフェのバイトが休みの日。
チケットを買って、朝イチの新幹線に乗っていた。、

電車の中から、5年前ふたりで見た景色を今度は1人で見るのはやっぱり寂しかった。



「あれ、愛莉ちゃんじゃん」



地元の駅について、改札を通ると横にある窓口からそんな声。



「凛月くん!」



横をみると、駅員の制服を身にまとった凛月くんの姿があった。



「久しぶりじゃん。どうしたの?」



久しぶりに見る凛月くんの姿になんだか心があたたかくなる。

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