君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
「帰る前に買ってきた」


「なん、で……」



記憶がないのに。
どうして、これを浩ちゃんが買っているのだろう。

まぁ、記憶がなくても浩ちゃんがこれを好きだったって記憶はなくなってないのかもしれないけど。
それでも、このお菓子は間違いなくあたしたちふたりの思い出だ。



「よくさ、東京に来てからも買って送ってもらってた」


「それ、好きだった記憶はなくなってないんだね」



あたしたちふたりで食べていた記憶も片隅に残ってくれていたらよかったのに、なんて思ってしまう。



「でも、一緒にいた頃は送ってなんてもらってなかった気がする」



もし、送ってもらっていたらふたりで東京きてからも食べていたはずだ。



「愛莉がいなくなってからだよ。送ってもえるようになったのは」


「……え?」



浩ちゃんの言葉がにわか信じられなくて、後ろに下がってしまう。



「なんで、逃げんだよ。ちゃんと話すからどっか行くなよ」



後ずさりしはじめたあたしの腕をすかさず掴んで、自分へと近づける。



「俺さ……」



真剣な顔をして話し始める浩ちゃん。

あたしは、どんな言葉が降ってくるかわからず、彼の言葉に耳を傾けた。

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