銀狼と緋色のかなた
朝食とお風呂を終えた二人は、ひとつのベッドに入り、抱き合って眠った。

昨夜は一睡もせず、多少なりとも血液を失った空月はさすがに限界だったに違いない。

また、一度は天国に召されようとしていたかなたの体も疲労を隠せなかった。

四肢を絡ませて、抱き合って丸くなる二人には、お互いの温もりが子守唄のような安心感を与え、翌朝まで一度も目覚めることなく、ぐっすり眠ることができた。


「おはよう」

「,,,ん?空月」

かなたが翌朝目覚めると、側臥位で片肘をついてかなたを見つめる空月の顔が目に入った。

チュッ、と空月の唇がかなたの唇を奪う。

「今,,,何時?」

「まだ、朝の5時だ。約束の時間まで5時間ある」

空月からの深いキスが容赦なくかなたに降り注ぐ。

「もう、どうしたの?空月。まだ朝なのに」

顔を赤らめたかなたは、モジモジしながら空月から体を離すと、空月に背中を向けた。

すると、背中側から空月がかなたを抱き締めて言った。

「可愛いかなたの寝顔を見ていたら我慢できなくなった」

不埒なことを朝から照れずに伝えてくる空月も、本当の姿。

かなたは正直に気持ちを伝えてくれる空月を愛しく感じて、かなたのお腹に巻き付いている空月の腕を、同じようにぎゅっと抱き締めて、

「私も空月とキスしたいよ」

そう言ってうつむいて本音を伝えた。

そのあと、調子に乗った空月に何をされたかは、想像通りである。
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