拒絶された後の憂さ晴らし
驚いた様子で私を見ては、右手で顔を隠して小さな声で「ヤバイ…」と呟いた。


「ヤバイって何よ!聞こえてるからね、私には。似合わないって言いたいの?」


「否、そうじゃなくて…。ちょっと、こっち来て…!」


添野に手を惹かれるままに同じ階にある会議室へと誘導された。


カチャリ。


中に入ると添野が何やら鍵を閉めた様だった。


「……率直に聞くが、お前、俺の事を本当に分からないのか?」


「えぇ、何の事だか分からないけれど、貴方には今年の春に会ったばかりよ!」


「そこまで断言されると悲しくなるけど…総務課に居た同期の眼鏡君を覚えてない?」


「眼鏡君?……何となくは覚えているわ。冴えない感じの人だったと思うけど、何か関係ある?」


眼鏡君には元カレと付き合い出した直後に告白されたと思う……、記憶が確かであればだけれども。


名前は……何だったのだろう?


「……何にも覚えてないんだ?それはそれで好都合でもあるけど…」


「はぁ?何が?」


「アノ子は俺の秘密を握って居るから近づきたかっただけで、何の興味もない」


「……ふぅん、そうなんだ」


秘密を握られてるから、顔が赤くなっただけなのか……。


人の噂って適当なんだな…、だから噂なのかもしれないけれど…。
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