主任とルームシェア始めました
月曜日。
私が出勤すると、更衣室で由貴が叫んだ。
「遥!」
「ん? 何?」
驚いて振り返ると、由貴に左手首を掴まれた。
「これ…?」
由貴が薬指の指輪を見ている事に気づき、私は恥ずかしくなって、俯いた。
「あ、これ?」
周りのみんなの視線が私の手に集まる。
「はるちゃん、それ、もしかして…。」
「エンゲージリング?」
「………
はい…。」
私が肯定すると、わぁ!と歓声が上がる。
「はるちゃん、結婚するの?」
「いつ?
どこで?」
「プロポーズの言葉は?」
矢継ぎ早に質問される。
「あの、えっと…」
私が答えに困っていると、始業時刻になり、みんな名残り惜しそうに朝礼へと出て行く。
私もほっとして、朝礼に参加した。
今日も仕事は山のようにある。
だけど、キーボードをカタカタ音を立ててプログラムを組んでいても、左手の輝きが目に入り、嬉しくなって頬が緩んでしまう。
私はご機嫌で、いつもよりハイペースで仕事をこなしていた。
「くくっ」
隣から笑い声が聞こえた。
「何ですか? 主任?」
私が尋ねると、
「いや、さっきからご機嫌だな、と思って。
くくくっ」
けいちゃんは、笑いをこらえるのに必死だ。
「隣でふてくされてるより、ご機嫌な方が
いいですよね?」
私がちょっと怒ったように言うと、
「ああ、そうだな。
まぁ、ご機嫌の理由も分かるしな。」
そう言うと、私の耳元に顔を寄せて、囁いた。
「今度、お前のご両親にも改めてご挨拶に
伺わないとな。」
!!!
私は驚いてパソコンから顔を上げて、けいちゃんを見た。
けいちゃんは、もうパソコンに向かっている。
「けいちゃん?」
「くくっ、
呼び方間違えてるぞ。」
けいちゃんは、パソコンから目を逸らさず、
「週末、行くから、ご両親の予定、確認
しといて。」
と言った。