社内恋愛狂想曲
自分自身がそんな風に言われていたことももちろんハラワタが煮えくり返るほど腹が立つけど、護が奥田さんを都合のいい体だけの関係の女扱いしていることにも腹が立つ。

女をなんだと思ってるんだ!

「社員証届けてくれた人にも同じこと言われました。でももしかしたら体だけじゃなくて私自身を一番好きになってくれるんじゃないかと思ったりして、やっぱりあきらめきれなくて……」

「そんなに好きなの?」

「はい……こんなに誰かを好きになったの初めてです」

こんなにまっすぐな目でそう言われると、浮気されたのは私なのに、なぜだか罪悪感みたいなものが湧いてくる。

もしかしたら私より奥田さんの方が護のことを好きなのではないかとか、私が護と別れたら丸く収まるんじゃないかと考えてしまうくらいは、奥田さんの目力の破壊力は凄まじいと思う。

「そっか……。奥田さんがそれで幸せなら私はこれ以上もう何も言わないけど……」

「すみません、私の話ばっかりしてしまって。私、就職と同時に地元から離れたので近くに友達もいないし、二股騒動でもめてから同期ともこんな話はできなくて……」

「二股騒動って新入社員の頃のことだよね?それからずっと?」

「会社なんで、うわべだけは仲良くしてくれますけどね。私のこと良く思ってないのはわかるし、ヘタに本音なんか話せません」

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