社内恋愛狂想曲
「そうなんですか?伊藤先輩は人望が厚いし、将来性もあるかなりの優良物件ですよ?」

私は瀧内くんの口角があがっていることを見逃さなかった。

他人事だと思って、なんて楽しそうな……!

「瀧内くん、面白がってる……?」

「バレましたか。まぁ、冗談はさておき……話の続きをどうぞ」

元のクールな表情に戻って続きを促されるとなんとなく話しづらいけど、ずっと笑われているよりはマシな気もする。

気を取り直して、護とは結婚はあり得ないから別れることに決めたと話すと、瀧内くんはさらに口元を歪めて笑った。

「やっと気付いたんですか?」

「いとこにも別れる一択だろうって言われたよ。それに親も心配してるから、そろそろ本気で将来のこと考えて行かないとなって。奥田さんから聞いた話も許せなかったし……」

「奥田さん?」

瀧内くんはここで突然奥田さんの名前が出てきたことに首をかしげた。

「ああ、そうだった。奥田さんと会ったことはまだ話してなかったんだ。さっき偶然奥田さんと会っていろいろ話したんだけどね……」

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