社内恋愛狂想曲
なんだか最近、ずっと誰かに振り回されてるような気がする。

肩を落として次のエレベーターを待っていると、すぐとなりに立った誰かが私の肩をポンと叩いた。

ここ数日の出来事のせいでちょっと人間不信なのか、また私を振り回す新たな刺客ではないかとビクついてしまう。

おそるおそる振り返ると、そこにいたのは三島課長だった。

「三島課長……おはようございます」

「おはよう、佐野。月曜の朝から疲れた顔してるな。大丈夫か？」

三島課長は心配そうに私の顔を覗き込んだ。

ああ、この感じ懐かしい。

私がまだ営業部にいた頃も、いつもこんな風に心配して声をかけてくれたっけ。

三島課長のこういうところはずっと変わらなくて安心する。

「大丈夫ですよ、ちょっと考え事してただけなので」

「そうか？あんまり無理するなよ。俺で良ければいつでも話聞くくらいはするから、また飲みに行こうな」

いつも通りの穏和で温厚な三島課長の笑顔に、折れた心を一瞬にして癒されたような、傷付いた女としてのプライドも救われたような気持ちで、なんだかもう後光すら見える気がする。

もしかしたら三島課長はこの会社の生き仏なんじゃなかろうか。

私も三島課長の穏やかな人柄にあやかれるのではないかなどと考えて、思わず手を合わせそうになった。



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