社内恋愛狂想曲
「んー?これちゃうなぁ。あれー?どうするんやっけ?お、あったあった」

「何してるの?」

「気が変わらんうちにシゲに返事しよう思って。あ、かかった」

「えっ、今?!」

泥酔状態でプロポーズの返事をするなんて、いくらなんでもあり得ない。

一生に関わる大事な話なのだから、日を改めてシラフのときにするのがお互いのためだと思う。

しかし時すでに遅し、葉月のかけた電話は繋がってしまったようだ。

「もしもしーぃ?この間の返事やけどな、私アンタと結婚するわぁ。だから今すぐ未来の嫁を迎えに来てやー、頼んだでぇ」

ずいぶんと一方的な電話だ。

葉月は言いたいことだけ言うと、相手に返事をする隙も与えず勝手に切ってしまった。

「ちょっと葉月……迎えに来いって言ったって今のじゃ無理でしょ?場所とか店の名前とか言わないと、迎えには来られないよ」

「うーん……私、言わんかったっけ?いや、言うたよ、居酒屋熊八って」

「いや、言ってないし!それにここ居酒屋熊八じゃないし!」

「それでも私のことがホンマに好きやったら、どこにおってもわかるはずや」

もう言ってることがむちゃくちゃだ。

だいたい三島課長が来ると言ってくれているのに、茂森さんを呼んでどうする!

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