社内恋愛狂想曲
「いえ、今日の夜に材料の買い出しに行って、その後木村先輩の家まで行ってお預かりします」

「持ってウロウロせんでええのは助かるけど、結局どこでやるん?」

「三島課長の家です 」

瀧内くんが躊躇なく答えると、さっきまで隣で黙って話を聞いていた三島課長が目を大きく見開き、勢いよくグルンと首を動かして瀧内くんの方を向いた。

「おっ、俺の家?!」

「もちろんです。会社から近いし広いし車はあるし、おまけにすぐ近所に大型スーパーまであって、こんなに条件のいい物件は他にないでしょう」

まるで住む部屋を探しているお客に優良物件を勧める不動産屋だ。

家主の三島課長にはなんの相談もなく、瀧内くんの中ではすでに、明日の夜に三島課長の家でタコ焼きパーティーをすることは決定しているらしい。

相変わらず瀧内くんはマイペース……いや、ここまで来るともう横暴と言ってもいいかも知れない。

「佐野主任、今日の仕事の後で材料の買い出しに付き合ってもらってもいいですか?」

いいですか?と尋ねてはいるけれど、それもおそらく決定事項なのだろう。

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