社内恋愛狂想曲
「三島課長がおっしゃる通り、僕の意見なんか聞いても参考にはならないと思いますよ。僕は佐野主任の友達の彼氏じゃないので。彼氏に直接聞いてみたらって言えばいいんじゃないですか?」

それができれば上司や元部下にこんなこと聞かないよ‼

だけど瀧内くんの言うことは正論過ぎて何も言い返せない。

「それを言ったら元も子もないな、瀧内。参考にはならなくても質問に答えるくらいはしてやれよ」

相変わらず三島課長は優しい。

瀧内くんも決して悪い子ではないんだけど、他人に必要以上に興味を持たないというか、感情をハッキリと顔に出すこともないし、干渉されるのが嫌いなのかいつも人との間に高い壁を作っているような気がする。

「男女問わずそんな風に考える人もいるでしょうけど、僕個人としては共感できません」

上司の三島課長に促されて仕方なく答えたのだろう。

瀧内くんはそれだけ言うと、また無表情でビールを飲んでいる。

「うん……そっか。ありがとう」

今日のところはこれ以上のことは何も聞き出せそうもない。

瀧内くんの言う通り、三島課長や瀧内くんの意見をいくら聞き出したところで、私と護の関係がどうにかなるとも思えない。

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