社内恋愛狂想曲
「潤、帰ってるなら出迎えくらいしろ」

三島課長が玄関で出迎える前に、勝手知ったるご両親は当然の如くリビングへとやって来た。

お父上はリビングを見渡して少し驚いた顔をした。

「おや?ずいぶんにぎやかだな」

「こんばんは……おじゃましてます……」

とりあえず挨拶は基本中の基本だから、失礼のないように立ち上がってお辞儀をした。

「こんばんは。お楽しみのところ突然すまんね」

ご両親がソファーに座ったので一応食事を勧めるべきかと思い、キッチンでお皿やお箸、グラスを用意していると、三島課長がかなり弱った様子でお父上のそばに座った。

「親父……ゆうこさんも、なんでまた急に……。今日は見ての通りみんないるから、用件は手短に頼むよ」

「ああ、この間の返事を聞こうと思ってな。おまえ、こうでもしないといつも逃げるだろう」

この間の返事ってなんだろう?

親子の会話を盗み聞きしてはいけないと思いながらも、気になって耳をそばだててしまう。

「あの話なら何度も断っただろう?もう勘弁してくれよ」

「断るならそれなりの理由ってもんがいるだろう?先方からはぜひともおまえをって、矢のような催促がきてるんだ。そろそろ観念して身を固めろ」

< 294 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop