社内恋愛狂想曲
チケットをじっと見ていた三島課長が顔を上げて、ちらりと私の方を見た。

「俺は大丈夫だけど……」

三島課長がぼそぼそと歯切れの悪い口調でそう言うと、瀧内くんがため息をついた。

「婚約者なんでしょ?初めてのデートくらい、ちゃんと誘ったらどうですか?」

「デ、デートって……!」

どうやらデートという言葉にものすごく抵抗があるらしく、三島課長はとても恥ずかしそうにしている。

確かに私もデートなんて言葉はあまり使わないから、ストレートに言われるとなんだか気恥ずかしい。

そういえば、明日はバレーシューズとかジャージとか、練習に必要なものを買いにいかないといけないことを思い出した。

「あの……明日はバレーに必要なものを買いに行きたいんですけど……」

「ちょうどいいじゃないですか。明日、潤さんと一緒に映画と買い物に行ってきたらどうです?潤さんがいつも行くスポーツ用品店が、その映画が上映されてる映画館のすぐ近くですから」

その店は三島課長と仲の良いバレーサークルのメンバーが経営しているスポーツ用品店だから、三島課長と行くといいものを安く売ってくれるそうだ。

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