社内恋愛狂想曲
三島課長も私がしり込みしているのを察したのか、私の右手の手首をつかみ、耳元に口を近付けた。

「遠慮なんかしないで、志織は車でも店でも俺の隣にいて」

三島課長って、こんな甘い声で話せるんだ……!

耳元で優しく囁かれ、その声の甘さにカーッと血が昇り、頬が熱くなる。

「わかった?」

「う……うん……」

婚約者を演じているだけだとわかっているのに、私は昨日のデートよりもドキドキする胸を抑えながら、三島課長の車の助手席に乗り込んだ。

後部座席には伊藤くんと葉月、真ん中のシートには里美さんを間にはさんで、瀧内くんとモナちゃんが座る。

どうやら真ん中のシートの助手席側が瀧内くんの定位置らしい。

店に向かって車が動き出すと、相当気を遣っているのか、里美さんが明るい声でみんなに話しかけた。

「さっき聞き忘れたけど、志織ちゃんはいくつ?」

「29歳です。伊藤くんと彼女の葉月とは同期入社で……」

「じゃあ私より3つ下かな。私と三島くんと中村くんは高校の同級生なの。三島くんが男子バレー部のキャプテンで、中村くんが副キャプテン。私は女子バレー部のキャプテンだったんだ」

「へぇ……。高校時代からの付き合いなんですね」

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