社内恋愛狂想曲
予想はしていたけれど、やっぱりそんな場所でも事に及んでいたのか。

性欲の抑えきれないような思春期の子供じゃあるまいし、あまりの浅はかさと節操のなさに呆れ果てて、もう言葉も出ない。

「そんなに慌ててどうしたんです?橋口さんも聞いたことあるんですか?」

「あるわけないだろ」

「ですよね。営業部の人は第2会議室とか地下の倉庫なんて、よほどの用がないと行きませんから」

護は苛立たしそうにギリッと奥歯を噛みしめた。

社外での不倫だけでなく、社内で奥田さんとやらしいことをしていたのが瀧内くんにバレていることに気付いたのかも知れない。


しばらくして、席を外し化粧室に向かった。

護を切り捨てるためとはいえ、この場にいないのをいいことに三島課長のことを婚約者に見立てて話していたことが、少し虚しく感じる。

本気で結婚を考えられるほど幸せな恋愛が私に訪れるのはいつになることだろう?

化粧室を出て座敷に戻ろうとすると、護が通路の壁にもたれて立っていた。

みんなの前では言えないことを私に言うつもりなのだろう。

私が目の前を通り過ぎようとすると、護は私の腕を強くつかんだ。

「痛いよ、離して」

「志織、さっきの話はなんなんだ?」
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