社内恋愛狂想曲
……なんだ、それってつまり……護が私に求めたのは奥田さんとの逢引きの合間のタダメシだけだったということ?

それとも何か?

浮気しても俺の帰る場所はおまえだけだよ、って?

馬鹿にするにもほどがある。

恋人の浮気現場を目撃して平常心でいられる人なんてきっといない。

私にだって女としてのプライドくらいはあるし、まだ実感はないけれど信じていた恋人に裏切られたら傷つきもする。

何も見なかったことにして今まで通り付き合っていけるほど強靭な精神など持ち合わせてはいない。

それでもあっさり別れてやるのは悔しいし、浮気には気付いていないふりをして物分かりも都合もいい女を演じるなんて、私の女としてのプライドが許さない。

二人を見返してやるいい方法はないものか。

しかし今は仕事中だ。

余計なことを考えている暇はない。

とりあえず大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせたら、さっきのは見なかったふりをして、必要な資料を持って商品管理部のオフィスに戻ることにしよう。



< 5 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop