社内恋愛狂想曲
私がオフィスに戻ると、何事もなかったかのようにパソコンに向かっていた奥田さんが振り返った。
「佐野主任、ちょっといいですか?ここの数字が合わないんですけど」
奥田さんの席に近付きパソコンの画面を覗き込むと、ほんの微かに護の愛用しているコロンの香りがした。
さっきの光景が夢でも幻でもなかったことを突きつけられたような気がして、一瞬、彼女を張り倒してやりたい衝動に駆られる。
しかしここでそんなことをしたら、私の方がこの職場には居られなくなってしまう。
沸き上がる衝動をグッと抑え、平静を装ってパソコンの画面に視線と意識を向けた。
「ああ……それ修正前のデータじゃない?新しいデータはこっちのファイルに入ってるから」
「そうなんですね。わかりました」
なかなかの図太い神経の持ち主だ。
さっきまで仕事サボって私の彼氏と抱き合ってキスしてたくせに。
護に付き合っている彼女がいると知っていながら関係を持っているわけだから、神経が図太いのは当然と言えば当然か。
護の彼女が自分の上司の佐野志織だと知っているかどうかはわからないけれど、もし知っていて関係を持っているとすれば、私に対してこれ以上の侮辱はないと思う。
それにしても二人とも会社でよくやるよ。
誰かに見られて社内で噂になったらどうするつもりなんだろう。
いっそのこと、言い逃れできないように重役にでも見られちゃえばいいのに。
「佐野主任、ちょっといいですか?ここの数字が合わないんですけど」
奥田さんの席に近付きパソコンの画面を覗き込むと、ほんの微かに護の愛用しているコロンの香りがした。
さっきの光景が夢でも幻でもなかったことを突きつけられたような気がして、一瞬、彼女を張り倒してやりたい衝動に駆られる。
しかしここでそんなことをしたら、私の方がこの職場には居られなくなってしまう。
沸き上がる衝動をグッと抑え、平静を装ってパソコンの画面に視線と意識を向けた。
「ああ……それ修正前のデータじゃない?新しいデータはこっちのファイルに入ってるから」
「そうなんですね。わかりました」
なかなかの図太い神経の持ち主だ。
さっきまで仕事サボって私の彼氏と抱き合ってキスしてたくせに。
護に付き合っている彼女がいると知っていながら関係を持っているわけだから、神経が図太いのは当然と言えば当然か。
護の彼女が自分の上司の佐野志織だと知っているかどうかはわからないけれど、もし知っていて関係を持っているとすれば、私に対してこれ以上の侮辱はないと思う。
それにしても二人とも会社でよくやるよ。
誰かに見られて社内で噂になったらどうするつもりなんだろう。
いっそのこと、言い逃れできないように重役にでも見られちゃえばいいのに。