社内恋愛狂想曲
「志織さんは誰から聞いたんですか?」

「……下坂課長補佐」

「後輩として……なんでしたっけ?」

「“かわいい後輩の佐野さんと二人で食事するくらいは許すつもりだけど……それ以上の関係になるのはちょっと……ねぇ?”と、言われました」

頭にこびりついて離れない下坂課長の言葉を、一字一句逃さずに伝えると、三島課長は眉間にシワを寄せて膝の上で両方の拳をギュッと握りしめた。

「なんだそれ……」

瀧内くんは三島課長の怒りに震える肩を軽く叩き、右の口角をあげてニヤッと笑う。

「そういうことを潤さんの見てないところで平気でする女なんだよ、あいつは。いくら仕事上の立場があっても許せることじゃないよね?」

「ああ……」

「だったらここからが本題だけど……あの女に赤っ恥かかせてやりたいと思わない?」

「赤っ恥……?」

私と三島課長が首をかしげると、瀧内くんは手招きして耳を貸せと促す。

「婚約者作戦、もう一度やってみませんか?」


それから瀧内くんは私と三島課長に作戦の詳細を簡単に説明して、「潤さんの気分がもう少し良くなるまでそばについていてあげてください」と言い残し、ひと足先に店内に戻った。

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