社内恋愛狂想曲
この分だとまともに話すことはできなさそうだから、少し落ち着くまで様子を見たら、タクシーでも呼んで帰ることにしよう。

三島課長は私の膝枕で軽い寝息をたてている。

どうやら疲れも限界を超えて眠ってしまったらしい。

「眠っちゃったみたい」

私が三島課長の髪をそっと撫でながらそう言うと、瀧内くんは小さく笑って三島課長の耳元に顔を近付けた。

「潤さんもやるときはやるんですね」

瀧内くんがそう言うと、眠っているはずの三島課長がうっすらと眉間にシワを寄せて寝返りをうち、瀧内くんに背を向ける。

「あっ……」

三島課長……もしかして起きてる?

私が思わず声をあげると、瀧内くんは笑いを堪えながらひとさし指を唇にあてて見せた。

さっきのことが照れくさくて寝たふりをしているのかな?

「お疲れ様、潤さん。カッコ良かったですよ」

私が耳元でそう言うと、三島課長は何も言わなかったけれど、目を閉じたまま耳まで赤くした。

こういう照れ屋なところも愛しく思えて、胸の奥がキュッと甘い音をたてた。




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