社内恋愛狂想曲
左ひじの辺りが大きく腫れ上がってやけに痛いと思っていたら、どうも骨折しているらしい。

骨にヒビが入っている状態なのだそうだ。

頭に数か所コブができて、顔や手足にいくつかの傷はあるものの、それ以外は特に目立った外傷はなく、一応脳にも異常はないということだった。

駅の階段を思い浮かべると、あれだけの長さの階段を転げ落ちてもその程度のけがで済むなんて、私は思った以上に頑丈で、ついでに運もいいようだ。

これには医師も看護師も驚いていた。

頭を打っているので今夜は入院して安静に過ごし、念のため明日もさらに精密な脳の検査をすることになった。

病室に運ばれて病院で借りた寝間着に着替え、ベッドに横になってようやく落ち着いた頃、誰かがドアをノックした。

返事をすると、ドアを開けて病室に入ってきたのは有田課長と葉月だった。

「検査終わった?」

「はい」

慌てて起き上がろうとすると、有田課長は「気を遣わないでいいから、そのままで」と私を制する。

葉月はすぐそばに来て私の顔を見るなり目を潤ませた。

「有田課長から“志織が駅の階段から落ちて救急車で運ばれた”って聞いたときは、ホンマにびっくりしたわぁ。大けがして包帯グルグル巻きで、チューブだらけになって意識なかったらどうしよか思ったけど、原型留めてて良かったぁ……」

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