社内恋愛狂想曲
「……うん……まぁ、そう、だね」

「どうしてもその彼じゃないといけいほど好きなら、浮気を繰り返される覚悟で付き合うなり結婚するなりしたらいいと思うよ。私は無理だったけど」

「それは厳しいなぁ……。そっか、千絵ちゃんは無理だったんだー……」

…………ん?

『私は無理“だった”』ってどういうこと?

まるで同じような経験でもあるみたいな言い方だ。

千絵ちゃんの恋愛遍歴が余計に気になる。

「えーっと……無理だったの?」

「無理だった」

「できればその辺詳しく聞かせてくれる?急に結婚した理由とか……」

少し話が長引きそうだからその前に何か飲み物を買ってきて欲しいと千絵ちゃんが言ったので、産院の玄関前に設置されている自販機でミルクティーとカフェオレを買った。

妊娠中はもちろん、今も授乳中なのでコーヒーは控えているけど、ミルクティーなら少しくらいは飲んでも大丈夫らしい。

昔は水代わりにコーヒーを飲み、浴びるようにお酒を飲んでいたヘビースモーカーの千絵ちゃんと同一人物だとは思えない。

この辺から千絵ちゃんはもうすっかりお母さんということなのだろう。

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