社内恋愛狂想曲
「ああ……あったねぇ。でもあんな噂、誰が流したんだろう?」

「誰が流したっていうか……噂になった原因は志織の行動にあるんやけどな」

私は葉月の言葉に驚き、口に含んでいたお茶を吹き出しそうになった。

「えっ、何それ?!どういうこと?」

「志織、三島課長がプリンくれようとしたの、断らんかった?」

「プリン……?ああ、うん、断った」

「有田課長にプリンあげたりもらったりした?」

「したけど……それがどうかした?」

「やっぱりな。全然知らんやろなとは思てたけど、原因はそれや」

葉月は歓迎会のときに営業部の若い女子社員から聞いた話だと前置きをして話してくれた。

「あのプリン、買えたらラッキーやからっていうだけの理由で“ラッキープリン”って呼ばれてるんちゃうねん。幸運を運ぶプリンやから“ラッキープリン”やねんて」

「それはまた大層な……。でもそれがどうして噂に結び付くの?」

「元々はラッキープリンを好きな人に渡して、受け取ってくれたらカップルになれるっていうジンクスがあったみたいなんやけど、それがだんだん変わってきてきて、プリン渡すのが“好きです、付き合ってください”で、受け取ったら“OK”、受け取らんかったら“ごめんなさい”ってことになったらしい」

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