社内恋愛狂想曲
「二人で幸せになってくれたらええんやで」

葉月の関西弁を真似してそう言うと、葉月は声をあげておかしそうに笑った。

「志織の関西弁はまだまだやなぁ……」

「そう?けっこううまくなったと思うんだけど」

「そんくらい一緒におるんやな、私ら」

「そうだね」

これから先もきっと私は、関西弁がもっと上手になるだろう。

何年か先にはお互いに子どもを連れて一緒に食事なんかしていたりして。

子ども同士も仲良くなってくれたらいいな。

まだ少し先の未来を思い描くと、ほんの少しくすぐったい気持ちになった。

「いつか子どもができたら、子どもたちも仲良くしてくれるといいね」

私がそう言うと、葉月は少し眠そうに目をこすりながらこちらを見た。

「子どもかぁ……。そうか、“はとこ”っちゅうやつになるんやな」

「ああ、親がいとこ同士だもんね」

「人の縁って不思議なもんやなぁ……」

そう呟きながら、葉月はゆっくりまぶたを閉じた。

準備はみんなで少し手伝ったとはいえ、料理のほとんどを取り仕切っていたのだから、相当疲れていたのだろう。

「お疲れ様、葉月。ありがとう」

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