社内恋愛狂想曲
私が小さく声をかけると、葉月は微かに笑みを浮かべて寝息をたて始めた。

葉月の布団を胸の辺りまでなんとか右手だけで引っ張り上げ、私もゆっくりと横になってまぶたを閉じると、あっという間に眠りに就いた。



翌朝は8時頃に目覚めた。

隣を見ると、葉月はまだ気持ち良さそうに寝息をたてている。

部屋のドアを開けてみても、階下から話し声は聞こえてこない。

今日は土曜日で仕事が休みだし、ゆうべお酒を飲みながら夜更かししたこともあって、みんなまだぐっすり眠っているようだ。

喉も渇いていることだし着替えて下りようと、バッグから洋服を引っ張り出す。

平日の朝はいつも出勤前で時間がないので葉月に手伝ってもらうけれど、今日は少し時間はかかったものの、なんとか一人で着替えを済ませることができた。

骨折して2週間も経つとギプス生活にも少し慣れてきたみたいだ。

葉月を起こさないようにそっと部屋を出てリビングに行くと、潤さんがソファーに座って新聞を読んでいた。

「おはよう、潤さん。もう起きてたの?」

「おはよう。入院中は6時に起床だったからな。今朝も同じ時間に目が覚めた。一緒にコーヒー飲もうか」

「うん、ありがとう」

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