社内恋愛狂想曲
ゆう子さんは25歳になる少し前に政略結婚で瀧内くんの父親と一緒になり、結婚してすぐの頃から始まった夫の浮気に耐えて生活していたけれど、瀧内くんが大学を卒業して就職と同時に一人暮らしを始めたことを機に離婚したらしい。

「長年耐えてたのに、よく決断したね」

「玲司が勧めたんだよ。自分が一人立ちしたらもう我慢して夫婦でいる必要はないだろうって。まだ若いんだからこれからは自分の幸せを考えたらどうだって言ったんだってさ」

普段は母親のゆう子さんと干渉し合わず適度な距離を保っている瀧内くんにも、母親想いな一面があるようだ。

クールな表情のせいでわかりにくいけど、じつは瀧内くんって、自分にとって大事な人が困ったり悩んだりしていると放っておけない、少々お節介で優しい人なんじゃないだろうか。

「それでゆう子さんも潤さんのお父さんも幸せになれたんなら、瀧内くんが背中を押してくれて良かったね。潤さんにも優しいお母さんができたし」

「お母さんって言っても俺ももう大人だし、やっぱり叔母のイメージが強いから、母親って言うよりは“ゆう子叔母さん”が“親父の再婚相手のゆう子さん”になったって感じなんだよなぁ……。でも俺も志織と結婚するし、安心して親父を任せられる人ができて良かったって思うよ」

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