社内恋愛狂想曲
「積もる話もあると思いますが……そろそろ参りましょうか」

ゆう子さんが腕時計を見ながら少し申し訳なさそうにそう言った。

壁掛け時計を見ると、時刻は2時半になろうとしている。

「そうですね。行きましょうか」

席を立って玄関に向かおうとすると、ゆう子さんが母に頭を下げる。

「これから親子共々よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」

「ところで君枝さん、例の……」

「ああ、あれね。用意してあるわ。今持ってくるから、ちょっと待って」

一体なんの取り引きをしているんだろう?

母はキッチンへ行って小さな紙袋持ってくると、ゆう子さんに手渡した。

「これは……」

ゆう子さんは紙袋の中を覗いて、子どものように目を輝かせている。

「ゆう子さん、この間のお菓子がずいぶん気に入ったようだったから、今日のお礼と言ってはなんだけど入れておいたの。おうちでゆっくり召し上がって。いろいろお話ししたいから、またいつでもご主人と一緒に遊びにいらしてね」

「ありがとうございます。主人にもそう伝えます」

私と潤さんは母親たちを見てポカンとしている。

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