社内恋愛狂想曲
「おまえなぁ……そういうことはちゃんと言えよ!」

「今志織さんに聞かれるまで、誰にも聞かれなかったので」

「いやいやいや……普通聞かれなくても自分から言うだろ?」

「普通の定義がわかりません」

伊藤くんは瀧内くんから一言の相談もなく先を越されたことや、報告すらなかったことがよほど悔しいらしい。

潤さんも伊藤くんもいとこと言っても兄弟同然の仲なのだから、一言くらいあったって……と思うのもわかる気がする。

しかしこの瀧内くんが好きになって結婚までした相手とはどんな人なのかがとても気になる。

「それじゃあ……奥さんはどんな人なのか聞いてもいい?」

この際だからとことん聞いてみようと思いきって尋ねると、瀧内くんはすんなりと口を割った。

「僕の初恋の人なんです。ちょっと歳上だけど、とても優しくてかわいい人ですよ」

「へぇ……奥さんは歳上なんだね」

瀧内くんは歳上の女性が好みだということは知っていたから、それに関しては想定内だ。

しかし瀧内くんの言う“ちょっと歳上”とはどれくらいのことを言うのか?

「歳上って、私と同じくらい?」

「いえ、もう少し上です」

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