社内恋愛狂想曲
ほんの数か月前までは、潤さんとこんな風に愛し会う日が来るとは思いもしなかった。

会議室で護の浮気現場を目撃してしまったあの日から、年齢的になんとなく結婚を意識していた私の毎日は目まぐるしく動き始めた。

潤さんとの“婚約者作戦”が始まってからは、それまで知らなかった甘くて優しい素顔を知るほどに潤さんに惹かれ、息をつく暇もないほどの慌ただしさで恋に落ちた。

秘密にしていた護との社内恋愛で裏切られて傷付いたことが、潤さんとの社内恋愛が始まるきっかけになり、後押ししてくれた同僚たちが掛け替えのない大切な仲間になったのだから、社内恋愛も捨てたもんじゃないなと思う。

潤さんと気持ちが通じ合ったあともいろいろあったけれど、今となっては二人で幸せになるための少々手荒い神様の試練だったのかも知れないと思ったりする。


そして今日、私たちは短かった社内恋愛にピリオドを打ち、夫婦となって家庭内恋愛を始めた。

もうすぐそれぞれの道を行く優しく気まぐれな仲間たちとの関係は、きっとこの先もずっと続いていく。

そしてこれからは、何が起こるか先のわからない狂想曲のような日々を、それぞれの大切な人と共に。


─END─

< 996 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop